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実は深い翻訳業界㊸~翻訳者が持っておくべき資格って?

執筆者の写真: SIJIHIVE TeamSIJIHIVE Team

更新日:3月4日



「実は深い翻訳業界」シリーズでは、翻訳者にとって必要なスキルをいろいろと取り上げてきました。対象となる外国語のリーディングスキルはもちろん、特定分野の専門知識、日本語の表現力やマネジメントスキル、コミュニケーションスキルなど、求められる技術や能力はかなり幅広いといえます。


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そして、翻訳者にとって大切なのは、それらのスキルをどのように証明し、自分をブランディングするかということ。その一つとしておすすめなのが、これまでの実績をポートフォリオにしておくことに加え、資格を取得しておくことです。それにより、効果的に自分を売り込むことができるのです。


ということで、今回は英日・日英翻訳を専門にするフリーランス翻訳者向けにおすすめの資格を一挙に紹介します。



1.翻訳関連の資格


JTFほんやく検定(日本翻訳連盟)


JTFほんやく検定は、日本翻訳連盟(JTF)が実施する試験で、取得することで翻訳スキルを客観的に証明することができます。申込から受験まですべてオンラインで行われ「機械翻訳」の使用は禁止されています(翻訳支援ツールの使用は可)。


英日翻訳と日英翻訳があり、出題分野は「政経・社会」「科学技術」「金融・証券」「医学・薬学」「情報処理」の中から1分野を選択、翻訳の完成度に応じて1~3級の合格を判定し、3級以上の合格者には「翻訳士」の称号が授与されます。


公式サイト:https://kentei.jtf.jp/



実用英語技能検定(英検)1級


言わずと知れた英検の最高レベルの級であり、合格すれば広く社会生活で求められる英語を十分に理解し、使用できることを証明できます。翻訳者として英検1級を取得していれば、高度なリーディング力があると評価されます。


資格としても入試や単位認定、海外留学など幅広い活用が可能であり、通訳案内士(ガイド)試験の外国語(英語)の筆記試験が免除されます。




TOEIC 900点以上


TOEIC は特にビジネス・IT・法律分野での実務翻訳に関して信用度をアップさせることができます。TOEICは取得したスコアごとに A~E の5段階でコミュニケーションスキルを測定しますが、900点以上は最上位の A にランク付けされます。


ただ、TOEIC は翻訳スキルを測定する試験ではないため、ほかのスキルと合わせて取得することをおすすめします。




通訳案内士試験(英語)


通訳案内士試験は、通訳案内士として必要な知識や能力を有するかどうかを判定することを目的として毎年1回実施される国家試験です。英語能力だけでなく、日本全国の歴史や地理、文化等に関する幅広い知識・教養が求められます。


翻訳者として通訳案内士の資格を保有していれば、観光や文化系の翻訳をする場合に強みとなるでしょう。





2.専門分野の資格(医療・特許・法律・IT翻訳向け)



翻訳者として高い価値を提供したいなら、特定の専門分野に強くなる必要があります。ここでは、分野別に分けて、どのような資格取得が有利なのかについて解説します。


医学翻訳向け


  • 日本医学英語検定試験(メディカル英語検定)

    日本医学英語検定試験には、基礎級(4級)、応用級(3級)、プロフェッショナル級(2級)、エキスパート級(1級)があります。医学英語に特化した検定試験は世界でもほとんど例がなく、医学英語運用能力を客観的に証明できる資格として活用されています。 式サイト:https://jasmee.jp/epemp/


  • 米国医療翻訳資格 CMI(Certified Medical Interpreter)


    医療翻訳・通訳のグローバル資格です。 日本人が受験する場合、資格試験の受験前に40時間の「Certificate」を取得する必要があります。また、英語能力に関して英語圏の高校卒業以上か、TOEFL や ELPT などの一定のスコアが求められます。 公式サイト:https://www.certifiedmedicalinterpreters.org/



特許翻訳向け


  • 知的財産管理技能検定(2級以上)


    知財マネジメントに関する技能の習得レベルを公的に証明するための国家試験です。合格者には「知的財産管理技能士」という国家資格が与えられます。1級~3級があり、翻訳者として2級以上を保有していれば、特許翻訳(特に特許明細書)を扱う際に知識が役立ちます。


  • 弁理士試験

    弁理士は特許権、実用新案権、意匠権、商標権などの知的財産権を取得する際に代理して特許庁への手続きを行います。短答式筆記試験、論述式筆記試験、口述試験の3つで構成されています。合格率は6~10%と、難易度が高い試験ですが、翻訳者としては短答式試験に合格しているだけでも法律・特許分野の翻訳をする上で強みになるでしょう。 公式サイトhttps://www.jpo.go.jp/news/benrishi/index.html



法律翻訳向け


  • ビジネス実務法務検定(2級以上)

    ビジネスの法務関連の知識を証明できる資格で、オンラインでの受験も可能です。翻訳者としては、契約書・法律文書の翻訳に役立つはずです。

    公式サイトhttps://kentei.tokyo-cci.or.jp/houmu/



  • TOLES(Test of Legal English Skills)

    TOLES は、国際法務や法律翻訳に特化した資格です。初級、中級、上級の3つのレベルから選択できます。

    公式サイト:https://toleslegal.com/



IT・技術翻訳向け


  • 基本情報技術者試験(IT パスポートも可)

    IT エンジニアの登竜門と言われている試験です。IT を活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアをつくる人材に必要な基本的知識・技能を身に付け、実践的な活用能力を身に付けることができます。翻訳者がこの資格を保有していれば、IT 翻訳・技術文書翻訳の仕事に役立つことでしょう。

    公式サイト:https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/fe.html




3.翻訳ツール・ソフト関連のスキル証明


実務翻訳で翻訳支援ツール(CAT ツール)を使わない案件はほぼありません。依頼を受けるにあたって「Trados 使えますか?」などと尋ねられることもありますが、以下のような資格を持っていれば自身のスキルを証明するのに役立ちます。


Trados Studio 認定試験(SDL Trados Certification)


翻訳者の多くは Trados を使ったことがあると思います。しかし、限定的には使えてもこのツールを「使いこなせている」翻訳者は決して多くないでしょう。

SDL Trados Studio 認定試験では、「レベル1」「レベル2」「レベル3」「管理者向け」のカテゴリごとに試験を受けて認定してもらえます。

各コースのテキストを読んだり、トレーニングを受けたりして準備をし、オンラインでの試験を受験者の任意のタイミングで受けることが可能です。



MemoQ 認定試験


MemoQ は Trados と並ぶ CAT ツールです。認定を受けて入れば、クラウド翻訳案件や欧米企業の仕事で役立つでしょう。





4.翻訳コンテスト・実績作りにおすすめの試験


資格ではありませんが、翻訳コンテストなどに応募して受賞すれば実績によって自らのスキルを証明できます。


JAT(日本翻訳者協会)新人翻訳者コンテスト

新人翻訳者コンテストは2004年に始まったコンテストで年に1回開催され、日英翻訳部門と英日翻訳部門があります。応募は無料で、第1位受賞者は世界の英日・日英翻訳者が集まって研究発表を行う国際会議(IJET)に招待されます。弊社も毎年、会議に参加していますのでこれからも多くの方々とお会いできることを楽しみにしています。




まとめ


毎日の実務に加え、家事や育児をしながら資格取得のための時間まで確保するなんて不可能!と思われるかもしれません。しかし、毎朝の10分でもコツコツと積み上げていけば、勉強そのものが翻訳者のスキルアップにもつながりますし、その努力が無駄になることはありません。


次回は翻訳者が持っていくべき「海外の資格」についてご紹介します。乞うご期待!



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著者プロフィール


YOSHINARI KAWAI


2008 年に中国に渡る。四川省成都にて中国語を学び、約 10 年に渡り、湖南省、江蘇省でディープな中国文化に触れる。その後、アフリカのガーナに1年半滞在し、英語と地元の言語トゥイ語をマスターすべく奮闘。コロナ禍で帰国を余儀なくされ、現在は福岡県在住。

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