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知っておきたい新出中国語:「if姐」「原年人」2021年下半期トレンドワード10選

2021年も早いものであと半月ほどとなりました。この時期になると一年を振り返る様々な企画が各メディアで取り上げられます。


弊社も翻訳会社として今年上半期のブログに続き、中国語トレンドワードをピックアップしてみたいと思います。題して「知っておきたい新出中国語、2021年下半期トレンドワード10選!」

さっそく見てみましょう。



1.普信男(Pǔ xìnnán


中国のドラマやバラエティ番組で女性が男性を「吐槽(tǔcáo=ツッコミ、ディスる)」する場面がよく登場します。そこでは様々なダメ男が登場しますが、例えば「渣男(zhā nán)」これはいわゆる「チャラ男」、つまり女性関係にだらしない男性を指します。さらには「软饭男(ruǎn fàn nán)」(「吃软饭(chī ruǎn fàn)」とも表現される)は、「ヒモ男」のことです。

「普信男」も中国の人気バラエティ番組「脱口秀(Tuōkǒu xiù)」の中で生まれた造語です。この流行語が生まれたのは次のセリフからだといわれています。


「为什么看起来那么通,但是他却可以那么自?(Wèishéme kàn qǐlái nàme pǔtōng, dànshì tā què kěyǐ nàme zìxìn?)」

意味は「見たところ普通なのに、なんでそんなに自信あるわけ?」ということ。


つまり、日本語でいえば「勘違い男」のことですね…。日本でもそうかもしれませんが、こういうタイプの男性は自分がイケてて、優秀だと勘違いしているため、往々にして女性に対する要求も高いとのこと。


2.你礼貌吗(Nǐ lǐmào ma


中国語をすこしかじったことのある方なら、意味は難しくないでしょう。「礼貌(lǐmào)」とは「礼儀正しい」こと。それをあえて尋ねているということはそこには別の意味があると推測できます。


これは、相手の反応が理解不能な場合、場合によってはややむかついた場合に言い放つセリフで、日本語にあえて訳せば「それって失礼じゃないですか?」という感じでしょうか?

もともとは中国の音楽番組「歌手・当打之年」上で耿斯汉(Gěngsīhàn)が袁亚维(Tia Ray)に対し初対面に関わらず微信(中国版のSNS)を教えてほしいとせがんだことに対して言い放った一言でした。



3.贴贴(tiē tiē


贴( tiē)とは「くっつく」という意味ですが、「贴贴」の対象は主に「人」で、ある人と近づきたい、親しくなりたいという意味を含んでいます。

落ち込んでいる友達を慰めるときに使ったり、ネット上でコメントを残すときに「いいね」の替わりに使ったりすることも可能です。相手が異性の場合は勘違いさせないよう注意して使いましょう。


4.if姐(If jiě


中国では職場などで年上の女性に呼びかけるとき「李姐」(=李姉さん)のように苗字に「姐」を付けることが一般的です。「if姐」の「if」とは英語の「もし」という意味ではなく、SNS上の人気インフルエンサーのIDネーム「if爱与美好」から取られています。


コンテンツとしては、主に現代女性の理想の姿を発信していることから、彼女はネット上で「if姐」と呼ばれることになり、そこから転じて「if姐」とは「経済的にも精神的にも自立し、男性の束縛を受けず、自分の考えをしっかりもっている理想の女性」のことを指すようになりました。


5.你喜欢银杏吗?(nǐ xǐhuān yínxìng ma?


もともとはドラマ「月光変奏曲」で使われたセリフで、好きな人に「表白(Biǎobái=告白)」するときに使います。


「因为有你,三生有幸(Yīnwèi yǒu nǐ, sān shēng yǒuxìng)=あなたがいて、わたしは前世、現世、来世のいずれも幸せです)」の最初と最後の漢字「因(Yīn)」「幸(xìng)」と「银杏(yínxìng)」の発音が同じというのが素敵ですよね。


根拠のほどは確かではありませんが、夏目漱石が「I love you 」を「月がきれいですね」と訳したのとどこか通じる奥ゆかしさを感じますが、中国のネット上で「你喜欢银杏吗?」を使って告白するのは「油腻(yóunì)」と考えられているよう。


ちなみにこの「油腻」も2017年のトレンドワードでもともとは料理が「脂っこい」ことを形容する語ですが、それが転じてある種の中年男性にみられる爽やかさやスマートさに欠けた、ちょっとしつこい様子や態度を表す言葉です。


ちなみに「我喜欢你(Wǒ xǐhuān nǐ)=あなたのことが好き」を表す別のネット用語に「立刻有(Lìkè yǒu)」があります。ピンインを見てお分かりになると思いますが、英語で「あなたが好き」という意味。最近のネット用語にはこのタイプのものが増えています。



6.emo


「emo」には今では各国で異なった意味を持つようになっています。もともとは音楽ジャンルの一つで、抒情的でセンチメンタルな歌詞が特徴のメロディアスなハードコアロックのことを指していましたが、日本でも「エモい」という言葉が若者を中心に使われるようになっています。日本では、何かを見たとき、ある曲を聴いたときに起きる感情的な変化を形容する言葉として用いられ、その場面によって意味は異なりますが、「ノスタルジック」「切ない」「物悲しい」といった意味を含みます。


しかし、中国のネット上で使われている「emo」はまた別の意味があり、どちらかといえばネガティブな感情を表すのに使われています。つまり、「憂鬱」「テンションが低い」といった意味合いを含んでいるのです。「残業でemoった」「テストの結果が散々でemoった」のように使われ、そうした感情を他のネットユーザーと共有したという思いがそこには込められているようです。


7.勇敢牛牛不怕困难(Yǒnggǎn niúniú bùpà kùnnán


中国語で「牛(niú)」は文字通りの動物以外に形容詞として用いられることもあります。方言で「頑固な」という意味を持つことがありますが、口語では「強い、勇敢な」という良い意味でも用いられます。


もともと中国のショートビデオプラットフォーム「TikTok」の絵文字で使われた「勇敢牛牛不怕困难」ですが、語呂の良さも手伝ってチャットで頻繁に使われるようになったとのこと。「勇気を持って恐れずに!」という意味をもつこのマジカルワード。もし、友達が落ち込んでいたり、行き詰っていたら、是非送ってあげましょう。


8.干饭人干饭魂(Gānfàn rén gānfàn hún


TikTokから生まれた流行語をもう1つ。「干饭」とは「吃饭(Chīfàn)」と同じ意味ですが「ガツガツ」食べる様子を形容します。そこから派生して「干饭人干饭魂」とは、「食を愛し、美味のためにお金を稼ぎ、そこから元気を得て、毎日頑張る生き様」のことを指します。ちなみに「干饭人之歌」(食を愛する人の歌)なる歌の歌詞もネット上に載せられていますので、関心のある方は是非。



9.yyds


漢字のピンインの頭文字を繋げるネット用語も近年多いですが、これもそのタイプです。「永远的神(Yǒngyuǎn de shén)」の4文字のピンインを繋げ、「永遠の神」、つまり「あるものや人を特別に愛している」という様子や、対象が「すごい」「やばい」という意味で使われます。

例えば、「李小龙的中国功夫厉害了,他就是yyds!(Lǐxiǎolóng de zhōngguó gōngfū lìhàile, tā jiùshì yyds)=ブルース・リーのカンフーまじヤバイ!」というように使います。


10. 原年人(Yuán nián rén


最後にやはり避けられないコロナ禍に関連したワード。あと2か月もしないうちにまた春節がめぐってきますが(2022年の春節は2月1日)、2021年の春節の際に流行したのが「原年人」、「現在の居住地で年越しをする人」のことを指します。今年の春節の際も中国では政府から年越しのために移動しないようとの通知が出され、出稼ぎや学業のためにふるさとを離れた多くの人が「原年人」になりました。2022年の春節は例年のような賑やかな春節になると良いですね。


以上、2021年の下半期トレンドワードをご紹介しました。漢字ばかりで固いイメージのある中国語もネット用語によって大きく変化している様子がうかがえます。来年にはどんなトレンドワードが登場するのか、弊社では引き続きウォッチを続けたいと思います!



参考文献:


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著者プロフィール


YOSHINARI KAWAI


2008 年に中国に渡る。四川省成都にて中国語を学び、約 10 年に渡り、湖南省、江蘇省でディープな中国文化に触れる。その後、アフリカのガーナに1年半滞在し、英語と地元の言語トゥイ語をマスターすべく奮闘。コロナ禍で帰国を余儀なくされ、現在は福岡県在住。




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