中国語翻訳、簡体字と繁体字どちらを選ぶ?大陸・台湾・香港の違いと SIJIHIVE の対応事例
SIJIHIVE を「翻訳会社」としてご紹介すると、まず「何語に対応していますか?」とご質問いただくことがよくあります。英語・日本語に加えて、弊社が特に力を入れているのが中国語です。中国語のご相談は新規のお客様からいただくことも多く、内容もイベントの案内冊子から商品広告のコピーまで多岐にわたります。
弊社には中国語ネイティブのスタッフを含む言語や現地の慣習・文化に精通したメンバーが在籍しており、これまでもさまざまなご相談をいただいてきました。中国大陸・台湾・香港それぞれの読み手に合わせた翻訳・監修・表現のご提案が可能です。
この記事では、中国大陸・台湾・香港に向けた資料や広告をご準備中のご担当者様に向けて、簡体字と繁体字の選び方や地域による表現の違い、SIJIHIVE の中国語チームの体制と、これまでに担当した案件の一部をご紹介します。
[目次]
中国語の簡体字と繁体字の違いは何ですか?
中国語の書き言葉には、大きく分けて「簡体字」と「繁体字」の2種類があります。簡体字は、中国大陸やシンガポールで標準として使われている、画数を整理した中国語の字体です。台湾や香港で使われる繁体字と比べて字形が簡略化されており、たとえば繁体字の「點」は簡体字で「点」、「檢查」は「检查」と書きます。
ただし、違いは字体だけではありません。同じ意味を表す場合でも、地域によってよく使われる単語や言い回しが異なることがあり、同じ繁体字でも、台湾と香港ではなじみのある表現が変わります。簡体字の文章を機械的に繁体字へ変換しただけでは、現地の読み手に不自然に映ることがあるのはこのためです。
また、特定の地域に寄せればよいとも限りません。広告コピーのように読み手の心を動かすことが目的の文章もあれば、公式の案内のように、幅広い読み手に正確に伝わることが優先される文章もあります。どの地域の、どんな読み手に、何を伝えたいのか。それによって、選ぶべき字体や表現は変わってきます。
SIJIHIVE が地域ごとに担当できるメンバーで中国語チームを組んでいるのも、こうした違いに対応するためです。
中国語翻訳では、地域に合わせた表現をどこまで意識すべきでしょうか?
文章の目的によっては、中国語の文章を地域に合わせて作成した方が伝わりやすいことがあります。広告コピーなど、読み手の心を動かすことが目的であれば、方言を交えたり、その地域でよく使われる表現を盛り込む方が共感を得られやすいと考えられます。一方で、イベントの公式案内や取扱説明書では、特定地域の口語に寄せすぎず、幅広い読み手に正確に伝わることが優先されます。
弊社が担当した事例でも、スポーツ大会の参加案内では繁体字を使う方に広く伝わる表現を、化粧品ブランドの広告コピーでは簡体字・台湾繁体字・香港繁体字の3地域それぞれに合わせた表現をご提案しました。
観点 | 公式案内・マニュアル | 広告コピー |
主な目的 | 必要な情報を正確に伝える | ブランドへの共感や購買意欲を高める |
地域への合わせ方 | 特定地域の口語に寄せすぎず、幅広い読み手に伝わる表現を選ぶ | 地域ごとの言葉の感覚に合わせて表現を選ぶ |
重視する点 | 用語・表記の統一、前回版との整合性 | トーン、語感、ニュアンス |
主な進め方 | 翻訳、既存訳文の監修 | トランスクリエーション、複数案のご提案 |
SIJIHIVE の事例 | 事例 A:スポーツ大会の参加案内 | 事例 B・C:化粧品ブランドのリーフレットと広告コピー |
表現を選ぶ際の考え方は、次の4段階で整理できます。
前提:どの地域の、どのような読み手に届ける文章かを確認する
結論:目的に応じて、地域に寄せるか、幅広い読み手に伝わる表現にするかを決める
理由:同じ字体でも、地域によって自然に感じられる語彙や言い回しが異なるため
具体的な手段:地域ごとのネイティブ翻訳者が訳文を作成・監修する
SIJIHIVE の中国語チームにはどのようなメンバーが在籍していますか?
SIJIHIVEの中国語チームは、中国大陸・台湾・香港の3地域に対応するネイティブ翻訳者3名と、中国に10年滞在した経験を持つ日本人ライター1名で構成されています。
1名の翻訳者がすべての地域を担当する体制と異なり、簡体字、台湾繁体字、香港繁体字のそれぞれに担当者を置いているため、地域ごとの語彙や言葉の感覚に沿った訳文を並行してご提案できるのが特徴です。日本語・英語とあわせた多言語での展開にも対応しています。
中国在住歴10年の日本人ライター:日本語での執筆、中国の文化や言葉に関するコンテンツ制作に精通。弊社ブログでも長年にわたり、中国文化や中国語豆知識についての記事を執筆
中国人翻訳者(大陸):簡体字に対応
台湾人翻訳者:繁体字に対応。台湾の方言にも対応可能
中国人翻訳者(香港向け):香港で使われる繁体字に対応
【事例紹介】SIJIHIVE はこれまでどのような中国語案件を担当してきましたか?
SIJIHIVE がこれまでに担当した中国語案件のうち、対象地域と関わり方の異なる3件をご紹介します。なお、クライアント名や実際の制作物は掲載できないため、いずれもイメージでお見せしています。
事例 A:スポーツ大会参加案内の監修(繁体字)
毎年開催されているスポーツ大会の、参加案内冊子(繁体字版)の案件です。台湾人翻訳者が担当しました。
ご依頼の背景
前回大会の繁体字版をもとに作成された翻訳原稿に、誤りや不自然な表現がないか確認したいというご依頼でした。
主な読み手は台湾からの参加者ですが、大会の公式案内であるため、台湾独自の口語や香港向けの表現に寄せるのではなく、繁体字を使う方に広く伝わる表現が求められました。
前回版の用語やトーン、固有名詞の表記を踏襲することも条件のひとつでした。
SIJIHIVE の対応
翻訳者が冊子全体に目を通し、160か所を超える箇所について修正案とその理由を示しました。主な修正は次のとおりです。
「関門」の訳:制限時間を過ぎると先へ進めない地点を指す「関門」は、元の翻訳原稿では日本語と同じ漢字の「關門」になっていました。これを、より意味の伝わりやすい「檢查點」(チェックポイント)に統一しています。
「フィニッシュ」の訳し分け:同じ「フィニッシュ」でも、「完走すること」を指す箇所と「ゴール地点」を指す箇所があります。文脈ごとに意味を判断し、「完賽」と「終點」を使い分けました。
繁体字圏で一般的な語への置き換え:元の翻訳原稿の「運營」を「營運」に改めました。
このほか、翻訳原稿で日本語のまま残っていた施設名を訳出し、冊子内の地名の表記もそろえました。完成した冊子には、これらの修正案の大半がそのまま採用されています。

ポイント
日本語と同じ漢字であっても、繁体字の読み手にとって自然な言葉とは限りません。既存の訳文がある場合でも、ネイティブの翻訳者が読み手の目線で読み直すことで、伝わりにくい箇所や表記のばらつきに気づくことができます。
事例 B:化粧品ブランドの店舗リーフレット(簡体字)
化粧品ブランドの新しい店舗空間を紹介する、店内リーフレットの簡体字版です(英語版もあわせて対応)。このブランドのコピー翻訳を継続して手がけている中国人翻訳者(大陸)が担当しました。
ご依頼の背景
直訳ではなく、ブランドへの理解と購買意欲を高めるニュアンスに仕上げる翻訳(トランスクリエーション)が求められました。
店舗のオープンに向けて納期が短く、制作の途中にも原稿の追加やタイトルの変更が続きました。
SIJIHIVE の対応
トーン違いの2パターン提案:ブランドのメッセージを伝えるブロックでは、ご希望に応じて「やわらかで静かな余韻を感じさせる詩的なトーン」と「現代的でテンポの良いエネルギッシュなトーン」の2パターンを提案しました。
固有名詞のファクトチェック:追加でご依頼いただいたアーティスト紹介では、美術館名や賞の名称などの表記を調べて確認しています。表記にゆれがある場合は、採用した語の根拠を添えて、ご判断いただけるようにしました。
修正案への回答:広告主さまから、赤字で2か所の修正案をいただきました。1か所はご提案どおりで問題ないとお返事し、もう1か所については、修正案の語では日本語原文とニュアンスが若干異なることを説明したうえで、原文に沿う別の語を提案しています。こうした説明は日本語でお伝えし、最終的には、その代案でご了承いただきました。

ポイント
ご指摘をそのまま反映するのでも、当初の訳をそのまま通すのでもなく、原文のニュアンスを基準に根拠と選択肢をお示ししました。スケジュール面では、最初のご相談から5日後に初稿をお届けし、その後に続いた追加の原稿も、ご依頼から8日後には納品しています。タイトル変更のご連絡には、翌日の午前中に訳文をお送りしました。
事例 C:化粧品ブランドの広告コピー(簡体字・台湾繁体字・香港繁体字)
エステサービスの広告で使われるメインコピーと、それに添える短いコピー(ショルダーコピー)を、簡体字・台湾繁体字・香港繁体字の3種類に訳した案件です。簡体字は中国人翻訳者(大陸)、台湾繁体字は台湾人翻訳者、香港繁体字は香港繁体字に対応できる中国人翻訳者が担当しました。
ご依頼の背景
日本語のコピーだけでなく、英訳コピーもベースにしてほしいというご依頼でした。
どちらか一方に合わせるのではなく、それぞれの文化圏でより伝わりやすいコピーを採用したい、というのがクライアントのご意向でした。
繁体字については、台湾向けと香港向けの両方の提案をご希望でした。
SIJIHIVE の対応
地域ごとの訳文作成:ブランドコピーの解釈メモや、ご依頼時にいただいた資料も踏まえ、地域ごとの担当翻訳者がそれぞれの訳を作成しました。
香港繁体字版:メインコピー、ショルダーコピーとも2案ずつ用意し、それぞれ何を重視した表現なのかを英語で添えています。メインコピーには、自分を高める前向きな気持ちを訴える案と、原文が持つ気持ちの高揚感を残す案を用意しました。
簡体字版:同じく2案ずつ用意し、各案の意図を日本語で添えています。
修正案への回答:簡体字版については、クライアントから「2案を組み合わせたい」というご要望と、表現の一部を変えたいという修正案をいただきました。修正案にあった語は、単独では本来と違う意味に取られるおそれがあったため、当初は使用を避けていたものです。ただ、ご提案の組み合わせであれば誤解の心配はないと判断し、修正案どおりに仕上げています。

ポイント
同じコピーでも、届ける地域によって選ぶ言葉は変わります。地域ごとに担当翻訳者を立てることで、それぞれの読み手に合わせた訳を並行して提案できました。クライアントからの修正案に対しても、語のニュアンスを確認したうえでお返事しています。
中国語でのご相談にも対応しています
中国語でのご相談は、翻訳以外の制作でもお受けしています。たとえば、日本在住の中国語圏のクライアントから、都内で開催されるチャリティコンサートのポスター・チラシ制作をご依頼いただいたことがあります。中国語でご要望を伺い、日本語に訳してデザイナーと共有しながら進めた案件です。チケット発売日に間に合わせる短い納期の中、その後の表記の変更や修正にも対応し、コンサートは無事に開催されました。
【まとめ】中国語翻訳を地域ごとに最適化するポイントは?
同じ「中国語翻訳」でも、読み手がどの地域にいるのか、文章の目的が案内なのか広告なのか社内資料なのかによって、求められる対応は大きく変わります。今回ご紹介した3件も、対象地域、字体、求められた関わり方がそれぞれ異なる案件でした。
SIJIHIVE では、中国大陸・台湾・香港に対応できるメンバーで中国語チームを構成し、翻訳に加えて、既存の訳文の監修や複数案のコピー提案にも対応しています。英語とあわせた多言語での展開も可能です。
中国語圏に向けた発信をご検討中の方や、どの地域向けにどの字体で作ればよいか迷っている方は、SIJIHIVE までお気軽にお問い合わせください。中国語でのご相談も承ります。
ご相談時にお知らせいただきたいこと
届けたい地域(中国大陸・台湾・香港など)と、想定している読み手
原稿の種類と分量(案内冊子、広告コピー、ウェブサイトなど)
ご依頼の内容(新規翻訳、既存訳文の監修、複数案のご提案など)
ご希望の納期と、公開・印刷のスケジュール
ご依頼の流れや納期、料金、機密情報の取り扱いについては、よくあるご質問もあわせてご覧ください。
SIJIHIVE の中国語翻訳に関するよくあるご質問
弊社では中国大陸・台湾・香港の3地域に担当翻訳者を置き、翻訳から監修、日本語・英語・中国語でのやりとりまで一貫して対応しているのが特徴です。以下では、ご依頼前によくいただくご質問に簡潔にお答えします。
SIJIHIVE は中国語のどの字体に対応していますか?
簡体字・台湾繁体字・香港繁体字の3種類に対応しています。中国大陸・台湾・香港の地域ごとに担当翻訳者を置いており、英語・日本語とあわせた多言語での展開も可能です。
簡体字の原稿を繁体字に自動変換して使っても問題ありませんか?
字形だけを変換すると語彙や言い回しの違いが残り、不自然に読まれることがあります。事例Aでは、ネイティブ翻訳者が既存の訳文に160か所以上の修正案をご提案しました。
既存の中国語訳文の監修だけを依頼することはできますか?
はい、既存の訳文のチェック・監修のみのご依頼も承っています。修正箇所ごとに理由を添えてお戻しするため、社内でのご判断にもお役立ていただけます。
中国語で相談や打ち合わせをすることはできますか?
はい、中国語でのご相談にも対応しています。都内のチャリティコンサートのポスター制作では、中国語でご要望を伺い、日本語でデザイナーと共有しながら進めました。
中国語翻訳の納期や料金はどのように確認できますか?
原稿の分量・字体・用途によって変わるため、ご相談時に個別にお見積もりしています。ご依頼の流れや機密情報の取り扱いは、よくあるご質問ページでもご案内しています。




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