ハワイで出会う秋色:フラ衣装と季節の移ろい
- SIJIHIVE Team

- 9月25日
- 読了時間: 6分

こんにちは!ALOHA ! 豊かでクリアな自然エネルギーたっぷりなハワイをこよなく愛する翻訳者兼フラ講師の板羽柚佳です。
フラはハワイ文化を象徴する舞踊。その衣装や花飾りには、自然と深く結びついた物語が息づいています。秋になると、シャワーツリーやプルメリアなど秋色の花々がレイや衣装に取り入れられ、舞台に独特の華やかさと温もりを添えます。ひとつひとつの花には意味があり、観る人へ季節の移ろいを静かに語りかけます。この記事では、9月から11月にかけてフラの衣装に選ばれる花々と、その文化的背景、そして伝統と現代が交わるフラ衣装の魅力をご紹介します。
目次
1. フラの衣装の基本と役割
4. 現代フラと衣装の進化
5. まとめ
フラの衣装の基本と役割

フラの衣装は、単に踊り手を飾るためのものではなく、踊りや歌詞そのものを映し出す重要な一部です。パウスカートはその揺れ方で波や風を表現し、レイや髪飾りは愛する人への想いを伝えたり、歌詞が描く情景を立体的に映し出しています。パウスカートは踊り手の中心(へそ)を守る意味を持ち、レイは首から胸元にかけてマナ(人の内なるエネルギー)を流す道筋とされています。さらに、手首や足首に巻くクウぺ(ブレスレットやアンクレット)は大地とのつながりを意識させ、ステップをより力強く、またはしなやかに際立たせてくれます。
衣装が持つ象徴的な意味
ハワイの自然は神々の住まいとされ、フラ衣装を身にまとうことは自然そのものを纏う祈りに近い行為と言っても過言ではありません。ティーリーフ(センネンボクの葉)で作られたスカートは浄化や身を守る結界の役割を果たし、ククイの実のレイは知恵と光を象徴します。ハワイには日本のような明確な「秋」という概念はありませんが、9月から11月の舞台では赤や黄色の花を選ぶことで収穫や豊穣を表現し、舞台全体をひとつの祭壇のように見せることもあります。
フラを伝えるハーラウ(フラを伝授する団体のこと)では、踊りの前にクム(師匠)やハウマナ(生徒や弟子)、オハナ(家族)と共に花や葉を摘み、レイを編みながら自然に感謝を捧げる時間を持つのが習わしです。このひと時も、衣装が祈りの一部であると実感できる大切な時間です。
舞台ごとに異なるスタイル
フラの衣装は、舞台やイベントの趣旨によって姿を変えます。古典フラであるカヒコでは、葉や樹皮など自然素材を使った衣装が中心で、厳粛で神聖な雰囲気を醸し出します。
一方、秋に行われるフラホオラウナや各地のフェスティバルでは、観客を楽しませる現代フラ = アウアナが主役。プリント生地のパウスカートやホロク(ロングドレス)が用いられ、カラフルな衣装が踊り手の動きを華やかに引き立てます。
季節の花で色づく「実りの秋」ならではのフラ衣装

ハワイでは多彩な文化が交わった影響で、9月から11月は「実りと祝祭の季節」として親しまれています。この時期に見ごろを迎えるシャワーツリーは、黄色から赤へのグラデーションがまるで秋の夕焼けのような美しさです。長めのレイにして首にかけると、踊り手の動きとともに花びらが揺れ、観客は自然の中に包まれたかのような感覚を覚えます。プルメリアも深みのある赤やディープピンクが映え、甘い香りとともに舞台全体に落ち着いた温もりを添えてくれます。
この時期ににおすすめの花とレイについて
シャワーツリー:淡い黄色からオレンジ、赤へと変化する花びらが夕焼けを思わせます。レイにすると華やかさと落ち着きのバランスが絶妙。
プルメリア(赤系・ディープピンクなど):甘い香りと深い色合いで秋らしさを演出。ハクレイ(花冠)に仕立てると存在感がぐっと増します。
マイレの葉:深い緑のツヤが秋の色に映えます。一本の蔓を編まずにそのまま首にかけるスタイルは神聖さを象徴します。
ククイの実:黒やこげ茶の実が全体を引き締め、パウスカートやトップスと色調を合わせると落ち着いた統一感が生まれます。
色合いがもたらす季節感の表現
フラの舞台では、衣装の色が曲のテーマを語り始めることがあります。オレンジやテラコッタ、モスグリーンは秋の自然を思い起こさせ、観客に心地よい季節感を届けます。さらに、コットンやレーヨンなどマットな質感の生地を選ぶことで、秋らしい落ち着きがより一層際立ちます。
レイは「編む人の心を映す」とも言われ、ひとつひとつ丁寧に編み込まれることで、踊り手と観客のあいだに目に見えない絆が生まれます。生花のレイには、季節への感謝や生きる喜び、新しいサイクルへの祈りが込められます。実のついた植物を加えれば、「実り」や「繁栄」といった意味が踊り全体に加わり、祝祭の雰囲気をさらに深めてくれます。
贈り物や祈りとしての文化的背景

ハワイにおいてレイは、ただの装飾ではなく、贈り物であり祈りそのものです。特に秋はマカヒキ(収穫祭)の季節。土地の恵みに感謝し、神々に祈りを捧げる行事が各地で行われます。この時期に披露されるフラでは、衣装や花の一つひとつに自然への感謝や祈りの気持ちが込められることが多く、踊りそのものが感謝を伝える儀式となります。観客もまた、漂う花の香りや鮮やかな色彩を通して、自然の循環や命のつながりを感じ取ることができるでしょう。
現代フラと衣装の進化

現代のフラ衣装は、伝統を大切にしながらも常に進化し続けています。ハワイだけでなく日本や世界中のフラダンサーが、季節感を意識したコーディネートを楽しみ、人工花やプリザーブドフラワーで作られたリアルなレイ、グラデーション染めのパウスカート、季節の花を描いたプリント生地など、創造的なアイデアが次々と生まれています。照明演出との組み合わせも人気で、たとえば夕暮れ色のライトと衣装の色を響かせれば、観客はまるでハワイの夕焼けの中で踊りをみているかのよう。
伝統の精神を守りつつ新しい素材やデザインを取り入れるその姿勢こそ、フラが「生きた文化」として今もなお息づく力の源です。
まとめ

フラ衣装は、単なるコスチュームではなく、季節と自然をまとう「今を生きる喜び」です。花や葉、色や素材が持つ意味を理解して身につければ、踊りはさらに深みを増し、観客の心を揺さぶります。現代のフラでは自由な表現が広がっていますが、自然への敬意と感謝を忘れないことこそが、伝統を未来へとつなぐ鍵となるでしょう。ハワイはもちろん、日本でフラを観る機会があれば、ぜひ衣装に込められた季節感や祈りの心にも目を向けてみてください。
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著者プロフィール
YUKA ITAHA
テレビラジオ業界でナレーターとして25年、フラ教室主宰15年とエンタメ業界一筋で生きてきたが、コロナ禍をきっかけに長年の夢だった翻訳業務を開始。
ハワイへは年に数回渡航。日々変化していく生きた英語に触れながら、
異文化間の思考の違いや取り組み方の違いを肌で感じ、
その違いを相互理解しながら埋めていくための一助となるべく、目下、邁進中。



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