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ハワイのことばが教えてくれること:人生がちょっと楽になるヒント

青い海と緑の山並みの上に大きな虹がかかるハワイの壮大な風景。

こんにちは!ALOHA ! 豊かでクリアな自然エネルギーたっぷりなハワイをこよなく愛する翻訳者兼フラ講師の板羽柚佳です。


ハワイで「暮らすように滞在」していると、ふとした瞬間に、島々に息づく格言が胸へ静かに染み込んでくることがあります。大きな決断のときに背中を押してくれたり、毎日の暮らしの中で小さな気づきをくれたり。憧れの地に根付く言葉は、その優しい響きのまま“今の自分に必要なメッセージ”として届いてくるのです。ゆったりと時間が流れるハワイでは、そんな言葉たちが人生の羅針盤のように寄り添ってくれます。今回は、ハワイのことばが持つ意味を深堀りしながら、その魅力をじっくり味わっていきます。



  1. 心に残るハワイの名言


夕日の光に照らされたコオラウ山脈とヤシの木に囲まれた緑豊かな草原の風景。

世界的な有名人からローカルに根づいた言葉まで、ハワイにはその土地の価値観を映し出す名言が数多くあります。その中から、いくつか印象的なフレーズをご紹介します。


● ブルーノ・マーズ

「If you don't believe in yourself, then nobody else will.」

(自分を信じなければ、誰もあなたを信じてくれない)


ハワイ出身の世界的アーティスト、ブルーノ・マーズが繰り返し語る言葉。ハワイでは“謙虚さ”が大切にされる一方で、「自分の才能を尊重すること」も同じように重要視されています。彼の言葉には、ローカルコミュニティで育まれた“自分らしさを堂々と表現する精神”が息づいています。


デューク・カハナモク(近代サーフィンの父)

「The best surfer out there is the one having the most fun.」

(最高のサーファーとは、一番楽しんでいる人のこと)


オリンピック金メダリストで、“アロハ大使”としても知られるデュークの名言。

競争よりも楽しむこと、そして自然と調和することを重んじるハワイの精神がよく表れています。彼は生涯を通して「人を尊重するサーフィン」を広め、ALOHA スピリッツを世界に届けました。


メアリー・カヴェナ・プクイ(ハワイ文化研究者)

「Nānā i ke kumu.」

(源を見よ)


kumu(クム)とは「源・根・起点・教師」を意味するハワイ語。迷ったときこそ外へ答えを求めるのではなく、自分の内側や自然のリズム、先人の知恵といった“源”に立ち返りなさいという教えです。


 カラカウア王

「Hoʻoulu Lāhui」

(国を新たにし、民を豊かに守る)


ハワイ王国最後の王・カラカウアが掲げた理念。急速に西洋化が進む時代の中で、ハワイ文化を守り、その精神を未来へつなぐという強い想いが込められています。今も文化継承に携わるローカルの人々の指針となっている言葉です。


 ローカルの言葉

「Pili ʻohana.」

(家族のようにつながる)


ハワイでは血縁だけでなく、心でつながる人々もʻohana(家族)と呼びます。コミュニティ全体で支え合う文化を象徴する言葉で、ハワイの優しさや温かさの源とも言える考え方です。


いにしえから伝わることわざ

「He aliʻi ka ʻāina, he kauwā ke kanaka.」

(主人は大地、仕えるのは人。)


自然を敬い、人間は自然の一部であるというハワイの根源的な価値観を表す言葉。土地を「所有する」ものではなく、「守り、循環させるもの」として捉える精神が古くから受け継がれています。ハワイの人々が環境保全に情熱を注ぐ理由のひとつでもあります。


「No rain, no rainbow.」

(雨がなければ虹は出ない)


ハワイの日常でよく使われるフレーズ。変わりやすい天気を「嫌なもの」と捉えるのではなく、「虹の前ぶれ」として受け入れる前向きな価値観が表れています。ハワイらしい、希望を感じる言葉です。



  1. ハワイの言葉に共通する「生き方のヒント」


濃い緑の熱帯雨林の小道に木漏れ日が差し込み、幻想的な光が広がる風景。

これらの名言に触れていると、ハワイ独特の「人生観」が浮かび上がってきます。

その大きな特徴は、次の3つにまとめられます。


1. 自然と共に生きる感覚


ハワイの格言には、自然のリズムと心のあり方が深く結びついています。「No rain, no rainbow.(雨がなければ虹は出ない)」のように、自然現象と人生の学びを重ね合わせるのは、ハワイ文化の大きな特徴です。


「変化を恐れず受け入れる」

「自然の声に耳を澄ませる」

「人も自然もすべて繋がっているという循環意識で生きる」


こうした考え方は古代ハワイアンが大切にしてきた知恵であり、“人間も自然の一部である”ことを優しく思い出させてくれます。


2. ポジティブさと受容の精神


ハワイの言葉に共通しているのは、穏やかでやわらかな前向きさ。それは「無理やり明るく振る舞う前向きさ」ではなく、「ありのままを受け入れた先に生まれるポジティブさ」です。


「嫌なことも自然の流れ」

「起こることには意味がある」

「人や出来事をジャッジしない」

「見返りを求めず、愛を差し出す」


その根底にあるのは、ハワイに息づく「ALOHA」の価値観。受け入れる強さと優しさが、言葉の中に静かに宿っています。


3. 自分の中心(源)に戻るという智慧


「Nānā i ke kumu.(源を見よ)」は、外側で起きた出来事よりも“自分の内側”に意識を向けなさいという教えです。


「迷ったら自然や自分の内面へ戻る」

「誰かと比べず、自分のペースで進む」

「魂の声(kuleana:本来の役割)を尊重する」


こうした格言は、現代の忙しさの中で忘れがちな“本来の自分”をそっと思い出させてくれます。



  1. まとめ


夕日のビーチで波に濡れた小石が積み上げられ、柔らかな光に包まれた静かな風景。

島々の自然、歴史、そして人々の心が紡いできたハワイの格言は、「生きる知恵」そのものです。日々の暮らしの中で静かに染み込み、私たちの選択や行動、心の在り方をそっと整えてくれます。それらの言葉は、状況や立場を越えて人と人をつなぐ「共通の合図」としても働き、困難なときには希望を、迷ったときには原点へ戻る力を与えてくれます。


忙しい日常の中でも、ハワイの言葉に触れると自然と肩の力が抜け、“本来の自分”へ帰る道しるべを手のひらにそっと置いてくれる——そんなあたたかさが、ハワイの言葉には宿っています。



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著者プロフィール


YUKA ITAHA


テレビラジオ業界でナレーターとして25年、フラ教室主宰15年とエンタメ業界一筋で生きてきたが、コロナ禍をきっかけに長年の夢だった翻訳業務を開始。

ハワイへは年に数回渡航。日々変化していく生きた英語に触れながら、

異文化間の思考の違いや取り組み方の違いを肌で感じ、

その違いを相互理解しながら埋めていくための一助となるべく、目下、邁進中。

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