持つべきものは負の思考:ストレスを消化する「感情ラベリング」とは

更新日:2021年11月29日



昨年コロナ禍にあって大人も子どもも夢中になった「鬼滅の刃」(私自身は見ていません…)、日本アニメの興行収入歴代1位にランキングされていますが、その「鬼滅」に記録を塗り替えられてしまったのが、宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」でした。


さて、この映画の中に出てくる有名なキャラクターに「カオナシ」がいます。このキャラが何を象徴しているのか、いろいろとな憶測が出回っていますが、宮崎駿監督によると、「誰の心の中にもいる」とのこと、勝手な解釈をしてしまえば、私たちが抱える「負の感情」も「カオナシ」に似ているのかもしれません。


アニメをご覧になった方はご存じかと思いますが、カオナシは「あ…」とか「う…」とか唸り声を出すだけで、言語能力を持ち合わせていません。そもそも名前そのものが「カオナシ」ですから、実体が定まらない、曖昧模糊(あいまいもこ)とした存在です。厄介なことに、放置しているとどんどん増幅し、魑魅魍魎(ちみもうりょう)へと変化します。


ネガティブ感情は持って然るべき


私たちの抱える負の感情も似たようなところがあります。仕事やプライベートで抱えた負の感情をきちんと精緻に描写できる人は少ないでしょう。悲しみややるせなさ、不安や情けなさなど、さまざまな感情が混然一体となって私たちの心を支配し始めます。きちんと処理していかないと徐々に巨大化し、最後には手に負えない怪物のようになることすらあります。


特にコロナ禍では人との接触や雑談が減り、そうした負の感情がまだ小さな段階で消化することが難しくなっています。1人で悶々と悩んでいるうちにすっかり心が絡めとられてしまい、悲しいことにSNS 上で誹謗中傷し合ったり、人や自分を実際に傷つけることにも繋がったりしている様子を私たちは目にしています。


「カオナシ」にも似た負の感情を怪物にしないために大事なこと、それは「カオナシ」に言語能力を与えてあげることです。つまり、自分の中にある負の感情を言葉にする(ラベリングする)のです。言語でラベリングすれば、もともと形のないものでも実体のある対象として向き合うことができるようになります。実際、そうすることで、私たちの恐怖心や攻撃性をつかさどる脳の部位「扁桃体」の活性化を抑えられることが分かっています。


さて、あなたのマイナス感情はどれ?

負の感情をうまく言葉にする方法


といっても悶々とした、得体のしれない感情に「名前を付ける」ことは簡単なことではありません。それができないから、イライラして人に当たったり、暴飲暴食をしたりして別の形で何とか負の感情を消化しようとするのです。


感情にラベリングするにはトレーニングが必要です。以下で、その簡単なステップをご紹介します。



1. 感情表現の語彙を増やす


個人的なことで恐縮ですが、最近色鉛筆を買いました。それが何と120色入りです。当たり前ですが、何か景色や動物を描こうとすると、12色では足りません。120色でも足りないくらいですが、少なくとも12色の色鉛筆で表現するよりは、描こうとするものを細かく描写できるようになります。


わたしたちの感情も同じかもしれません。今までは負の感情を表現するのに4色くらいしか持ち合わせていなかったとしても、徐々にその色の幅や深みを広げてみてはいかがでしょう。「感情の色鉛筆」の色を豊富にすることから始めてみるのです。


例えば、「怖い」という色の中にも「萎縮する」「足がすくむ」「自信がない」などがあり、そうしたさまざまなバリエーションの「感情の色」を使うことで、抽象的な感情を具体的にラベリングできるようになります。



2.負の感情を増幅させない


「アンガーマネジメント」の第一人者である安藤俊介氏によると、大脳で生まれた感情に理性が介入するためには6秒かかるとのことです。つまり、怒りや恐れを感じたときはまず6秒だけ待ってみましょう。そうすれば、負の感情という魑魅魍魎に支配されることはないはずです。おさまったのを待って次のステップに進みましょう。



3.感情はどうラベリングする?

心理学者のロバート・ビスワス=ディーナー氏によると、自分の感情を豊かな語彙で表現できる人は自分の感情をきちんと捉えられない人に比べて暴力をふるうことが40%も少ないとのことです。


感情をラベリングするといっても、その方法は人それぞれでしょう。傷つけられた相手に怒りをぶつけるのではなく、感情を言語化して伝えるべきときもあるでしょうし、1人でいるときには日記に書き表すのも1つの方法です。言語化するのは、誰かにみせるためのものではなくラベリングするためのものですから、メモ用紙などに書くだけでも十分効果はあります。


誰もが抱えている負の感情をいかに手なづけるかは、「カオナシ」を得体のしれないモンスターのままにしないことが重要です。感情を言語化し、ラベリングする習慣を身に着けて、プライベートやビジネスのストレスと上手に向き合っていきましょう。


参考文献:

https://studyhacker.net/kanjo-labeling

https://note.com/ibase/n/nd8a8969fe549


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著者プロフィール


YOSHINARI KAWAI


2008 年に中国に渡る。四川省成都にて中国語を学び、約 10 年に渡り、湖南省、江蘇省でディープな中国文化に触れる。その後、アフリカのガーナに1年半滞在し、英語と地元の言語トゥイ語をマスターすべく奮闘。コロナ禍で帰国を余儀なくされ、現在は福岡県在住。

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