仕事でもプライベートでも、以前に比べて家にいる時間が長くなっている方が多いことと思います。ただ、在宅時間が長くなればなるほど、生活のリズムを保つのは難しくなるものです。もちろんそれなりの休息は必要ですが、ダラダラと過ごしてあっという間に半日が過ぎていたことに気づいて後悔したり、罪悪感を感じたりする場合もあるかもしれません。意思の力で自分を律するのは決して簡単なことではありませんよね?
アメリカの心理学者、起業家のベンジャミン・ハーディーは「意志力など役に立たない。変わりたいなら環境を変えるべき」だと主張します。
「環境を変える」といっても GoTo キャンペーンでどこか別の場所に行かなければならないということではありません。たとえ家にいる時間が長いとしても、自分を「パターン」や「仕組み」にはめ込むことにより、今よりも充実した気持ちを味わうことができるのです。
つまり、古典的に言えば「良い習慣を身に着ける」ということですが…
今回は習慣力を身に着けるための 3 つの方法についてご紹介します。
1.朝の儀式をつくる
「朝をどう過ごすか」が重要だということは成功をおさめた多くの経営者が述べていることです。これは、習慣力を身に着けるためにどうしても避けられないテーマでもあります。
『習慣の力』の著者であるチャールズ・デュヒッグによると、習慣は「トリガー」「ルーチン」「報酬」の 3 つの要素から構成されているそう。これが繰り返されることで神経細胞のシナプスが成長し、自分が意識しなくても「自動操縦モード」で行動するようになるのです。
私たちの生活はすでにさまざまなトリガーで溢れています。
たとえば、「冷蔵庫を見る」というトリガーが「ビールを取り出す」というルーチンに繋がり、「アルコール」という報酬を得たり、「スマホを手にする」というトリガーが「SNS をチェック」というルーチンを引き起こし、「いいね!」という報酬を得たりする、という具合です。
つまり、自分の習慣を変えたければ、目を付けるべきなのは「トリガー」です。
朝目覚めたばかりの状態なら、このトリガーの効果が一番発揮されます。これは朝一番に「儀式」という形でより強力なトリガーを持ってくることで、その後にくるいつものトリガーをより増幅させることができるからです。「朝の儀式」の効果おそるべし!
自分をできるだけベストな状態に持っていくためのトリガーは、瞑想、ヨガ、ジョギング、散歩、コーヒーを時間をかけて淹れること、日記を書くことなど人によってさまざまです。
大事なのは、これを「儀式」とすること。儀式は厳粛な手順で行われなければなりませんし、神聖なものです。場所や時間を決めて、邪魔を排除しなければなりません。スマホは手の届かないところに置いておき、テレビを習慣的につけるのも我慢しましょう。もう少し寝ていたい、という時もとにかくベッドから抜け出して儀式を始めることが大事です。
2.記録する
人生を変える講義で知られるスタンフォード大学の心理学者、ケリー・マクゴニガルは、ある行為を「選択した瞬間」を振り返ることが大切だと述べています。ここで大事なのが、自分がなぜその選択をしたのかを記録することです。
もし、記録していなければ選択した理由やきっかけを客観的に分析することなどできません。わたしたちの脳は自分にとって都合が良いように事実を捻じ曲げてしまうため、永遠に失敗し続けるしかないからです。
ここであえて「日記をつける」ではなく、「記録する」と述べたのには理由があります。日記を書くことは多くの人にとって、三日坊主の代表選手のようになっていませんか?
有意義な習慣だとは分かっていても、考えがまとまらなかったり、文章にするのが面倒だったりするからです。
それに対して「記録」はシンプルです。単に事実だけを記録すれば良いですし、人に見せることを前提にしたウィットに富む表現を用いる必要もありません。
3.ハードルを意識する
ポイントの 3 つ目は、身に着けたい習慣のハードルは下げ、やめたい習慣のハードルは上げるということです。
この原則を熟知しているのは Amazon で、今では欲しい商品をサイト上でワンクリックで注文できるだけでなく、スマートスピーカーなど買い物のハードルは限りなく下げられています。また、SNS がここまで普及したのは「スマホで手軽に使える」ことが受けたからです。もし毎回 PC を立ち上げないと SNS が使えなかったら、だれも依存することはなかったでしょう。
先ほど挙げた「朝の儀式」のハードルはできるだけ下げましょう。ジョギングを習慣にしたければ、ジョギングウェア一式は前日から準備しておくべきですし、ヨガを習慣にしたければ、ヨガマットはすぐに手の届くところに置いておきます。朝起きたときに余計な準備をする、というハードルをあらかじめクリアしておくのです。
逆に SNS や YouTube をやたらとチェックする習慣をやめたければ、スマホにアプリをダウンロードせずに PC からしか見れないようにするとか、テレビをダラダラみないようにしたければ、リモコンを隠しておくといった工夫ができるかもしれません。
さて、いかがでしたか?
今回は習慣力を身に着ける 3 つの秘訣をご紹介しました。良い習慣を培うには他にもさまざまな方法やヒントがあると思いますが、あれもこれも試すのではなく、自分ができそうな方法から一つずつ挑戦してみましょう。
最後に誰もが知っている「習慣の鬼」(←すみません、勝手につけました)イチローの言葉をご紹介して、結びにしたいと思います。
「特別なことをするために、特別なことをするのではない。特別なことをするために、普段通りの当たり前のことをする」
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著者プロフィール
YOSHINARI KAWAI
2008 年に中国に渡る。四川省成都にて中国語を学び、その後約 10 年に渡り、湖南省、江蘇省でディープな中国文化に触れる。現在はアフリカのガーナ在住、英語と地元の言語トゥイ語と日々格闘中。
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