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食は中国にあり。多彩すぎる中国語の食表現②~魅惑の小吃(シャオチー)

更新日:2022年12月18日


今回は中華料理ファンの方からも、中国語学習者の方からも人気の「食は中国にあり」シリーズです。前回は中国各地の多彩すぎる麺について取り上げました。今回は中国の「小吃(Xiǎochī)」をご紹介します。


小吃(Xiǎochī)とは?


「軽く(小)」、「食べる(吃)」と書いて「小吃(Xiǎochī)」、意外と日本語に翻訳しづらい言葉です。よく「スナック」とか「おやつ」と翻訳されることがありますが、正確ではありません。中国の人たちにとって「小吃」はもっと幅広い意味を持ちます。あえて訳すとすれば「ソウルフード」という表現が近いかもしれません。


一般的に中国語で「小吃」というときには以下のような料理が含まれます。


面条(Miàntiáo :麺料理

盖饭(gài fàn:どんぶり料理

饺子(jiǎozi)餃子

烧卖(shāomai)焼売

包子( bāozi)肉まん、あんまん

炒饭(chǎofàn :チャーハン

烧烤(shāokǎo :焼き鳥

饼(bǐng):お好み焼きのような、クレープ生地にいろんな具材をはさんだ料理

点心(diǎnxīn):杏仁豆腐のようなデザート全般 などなど


一品料理のため、「間食」にもなりますが、朝食や昼食を「小吃」だけで済ませることもよくあります。また、街の至るところに「小吃」のお店ばかり集めたエリアがあり、地元の人たちで賑わいます。観光地には必ずその土地の特徴的な「小吃」があるので、食べ歩きするのも旅行の醍醐味の一つです。


以下では、中国の有名な「小吃」をいくつか取り上げます。門外不出の秘法で作られるものもあれば、特産といっても日本で手に入る材料で作れるものもあります。レシピも紹介しますので、是非自宅で気軽に作ってみてください。


臭豆腐(Chòu dòufu)



臭豆腐は湖南省の省都である長沙の有名な小吃」です。長沙を訪れると町中の至るところで臭豆腐が売られており、はじめての人は独特の「香り」に鼻をやられることでしょう。揚げたての一口大の厚揚げのようなものを各店オリジナルのタレにつけ、そこに唐辛子やパクチーなどを載せていただきます。色は黒いですが、揚げ過ぎて焦げているわけではありません。


臭豆腐を紹介するときによく使われる表現があります。


「闻起来臭,吃起来香」Wén qǐlái chòu, chī qǐlái xiāng


意訳すると、「かぐとヤバイが、食べるとうまい」という感じでしょうか?実際、その通りで、私自身も湖南省に住んでいたとき、最初の数年間は友人から何度勧められてもその匂いに耐えられず、拒絶していました。しかし、ある時勇気を出して食べてからは「やみつき」になりました…


热干面(Rè gān miàn)


湖北省の省都である武漢の有名な「小吃」です。多くの人は武漢と聞くと、2019年末に新型コロナウイルスが発生した場所というイメージが強いかもしれません。歴史的に著名な都市であり、1911年に辛亥革命が起きた場所としても知られています。


さて、前回紹介した「ビャンビャン面」のように、この「熱干麺」も日本で食べられるお店が増えているようです。しかし、実際に中国で「热干面」を食べた経験を持つ人によっては、ピカピカのレストランでこのソウルフードを食べることにやや違和感を感じるかもしれません。現地では、露店で10元(約200円)くらいで食して、手っ取り早く小腹を満たすための一品だからです。


写真で見ていただくと分かるように「热干面」は複雑な料理ではありません。おすすめなのは、自宅で作ってみること。以下、本場のレシピをご紹介します。


【レシピ】


1、生めんにごま油をいれてなじませる。

2、10分ほど蒸して、蒸し上がったら箸でかき混ぜながら冷ます。

3、刻んだザーサイ、「酸豆角(suān dòujiǎo)」、ネギを刻んでおく。

4、ピーナッツペースト、ごま油、醤油、塩を混ぜ合わせる。

5、冷ました麺を再び鍋に入れて1分ほど茹でて、4で作ったソースとからめ、3を載せる。


ほとんどが日本で手に入るものですが、「酸豆角(suān dòujiǎo)」はあまり馴染みがない食材かもしれません。これは「ささげ豆」の酢漬けであり、中国では炒め物や炒飯に常用されます。脂っこい料理に酸味を加えれば、全体の味を引き立ててくれる優れモノ。自分で作ろうと思えば作れますが、なければ紅ショウガを加えてもいいかもしれません。また、生めんをいちいち蒸すのが面倒くさい方は茹で麺を使っても良いでしょう。是非一度お試しあれ!


肉夹馍(Ròu jiā mó)


「肉夹馍」は日本でも人気が高い「兵馬俑」で知られる西安(xī'ān)の有名な「小吃」です。「馍()」とは、西安がある陝西(せんせい)省や甘粛省では「馒头(Mántou)」のことで、「肉夹馍」とは直訳すれば「肉が馒头を挟む」という意味。


ここで注意したいのが「馒头」を日本語に直すと「饅頭」ですが、全くの別物ということです。中国語の「馒头」は小麦粉を発酵させてつくった蒸しパンで、中に何も入っておらず、中国の東北地方ではデザートではなく主食です。では、日本の餡(あん)の入った「饅頭」は中国語で何というのでしょうか?大き目の、あんまんに近いものは「豆沙包(dòushā bāo)」で、小さめのものは「豆沙饼(Dòushā bǐng)」という感じでしょうか?


さて、「肉夹馍」は直訳通り肉が「馒头」を挟んでいるわけではなく、「馒头」が肉を挟んでいる「小吃」です。つまり、中国風のハンバーガーのようなものです。脂身たっぷりの豚肉は、秘伝のスープにつけて鍋で煮込まれ、とろけるような食感になっています。それをパリパリにした「馒头」に挟み込むのです。味はややスパイシーで、外のパリッとした食感と、中のジューシーなお肉が一体になった食体験に、きっと夢中になるでしょう。


まとめ


広い中国にはまだまだ数え切れないほどの美味しい「小吃」があります。今回は3つしか紹介できませんでしたが、中国に旅行に行ったらその土地の「小吃」を探してみてはいかがでしょう?びっくりするような安さで、あなたを異次元の体験にいざなってくれるはずです。


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著者プロフィール


YOSHINARI KAWAI


2008 年に中国に渡る。四川省成都にて中国語を学び、約 10 年に渡り、湖南省、江蘇省でディープな中国文化に触れる。その後、アフリカのガーナに1年半滞在し、英語と地元の言語トゥイ語をマスターすべく奮闘。コロナ禍で帰国を余儀なくされ、現在は福岡県在住。







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