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中国語の擬音語②~自然現象編「雨ざあざあ」「カンカン照り」はなんて言う?


前回の記事では、日本語のオノマトペが5,000語以上といわれているのに対し、中国語は300語前後に過ぎないことについて説明しました。また、その主な理由は擬態語が日本語のオノマトペの大部分を占めている一方、中国語ではほとんどが擬音語であることについて述べました。


今回から中国語における擬音語の具体的な表現についてご紹介します。第2回では、擬音語の中でも自然現象を表す言葉に注目してみましょう。


次の中国語の音を発音してみましょう


日本語のオノマトペもそうですが、中国の場合も擬音語である以上、自然の中で聞こえる音を真似したものです。そのため、音から何の自然現象を表すものかイメージできるはず…ということで、次の擬音語をピンインを参考に発音してみましょう。学習のためにはあまりおすすめできませんが、ピンインが苦手な方のためにカタカナも添えておきます。


①哗啦哗啦(huā lā huā lā)ファラファラ 

②稀里哗啦(xī lǐ huā lā) シリファラ 

③汩汩(gǔ gǔ)グーグー 

④火辣辣(huǒlàlà )フォーラーラー 

⑤飘飘( piāo piāo)ピャオピャオ 

⑥闪闪(shǎn shǎn)シャンシャン 

⑦隆隆( lóng lóng )ロンロン 

⑧熊熊(xióng xióng)ションション 

⑨徐徐(xú xú)シューシュー 

⑩沙沙(shāshā)シャーシャー 


正解は…


発音だけしてみても、言葉そのものを知らないと果たして何を表しているのか皆目見当も付かない、という方もおられるでしょう…では、正解を見ていきましょう。


①哗啦哗啦(huā lā huā lā)→雨がざあざあ



例文:雨哗啦哗啦地下个不停。=ザーザー降り続いている。


哗啦哗啦は、擬音語として様々な音を表すのに使われますが、1つの用法として共通しているのは水の音を表すという点です。水が「ぴしゃり」と跳ねるさま、お湯が「ぐらぐら」と沸いているさま、雨が「ざあざあ」降るさまなどを表します。ほかにも、物同士が触れあって「ざらざら」と音を立てるさま、紙や布が薄くて「ペラペラ」しているさまも表します。日本人の音や質感に対する感覚とはやや異なる点が興味深いですね。


ちなみに2022年の春節の時に歌われた「哗啦哗啦过好年」という曲があります。とてもノリの良い曲ですので、この歌の中で使われている「哗啦哗啦」に深い意味はないようですが、あえて訳すなら「新年をパチパチ拍手で迎えましょう」という感じでしょうか…?


②稀里哗啦(xī lǐ huā lā)→水がジャージャー


稀里哗啦も哗啦哗啦と似たような意味で使われる擬音語です。水が「ジャージャー」、雨が「ざあざあ」、物がぶつかる「ガチャガチャ」などの音を表します。


私が中国にいるとき、友人が「悲しいことがあって大泣きした」という際に「稀里哗啦」を使っていたことを思い出します。


③汩汩(gǔ gǔ)→ 泉がこんこん


例文:泉水汩汩涌出。=泉がこんこんと湧き出る。


汩汩も水が「ざあざあ」と流れる音を表すのに使われますが、覚えておきたいのは泉から水が「こんこんと」湧き出る様子も表現できるということです。


④火辣辣(huǒlàlà )→カンカン照り



例文:夏天的太阳火辣辣照晒着。=夏の太陽がじりじりと照りつけている。


火辣辣は焼け付くように暑いさまを表すのに使われます。そのため、日本語では「カンカン照り」、「じりじり」や「ひりひり」などと訳せるでしょう。それに加えて、焦りや恥ずかしさなどで「かっかする」「やきもきする」などの意味を表すのにも使われます。



ちなみに中国の少数民族の1つとされる「モンゴル族」の「乌兰图雅(Ulan Tuya)」という女性歌手がいますが、2011年の曲に「火辣辣的情歌」という曲があります。訳すと「灼け付くようなラブソング」という感じでしょうか。


⑤飘飘(piāo piāo)→葉っぱがひらひら


飘飘は、花びらや木の葉、雪などが「ひらひら」と舞う様子を表します。また、この語はそこから派生して、幽霊やお化けを表す代名詞としても使われるようです。


⑥闪闪(shǎn shǎn)→月がキラキラ



例文:月光下,河水闪闪地波动着。=月の光に照らされて、川の水はきらきら揺れ動いている。


闪闪は今回挙げた10個の擬音語の中では、音から一番イメージしやすい語かもしれません。月や水面がキラキラ光っている様子を表します。


ちなみに各国で人気のあるリアリティショーは、中国語では「真人秀(Zhēnrén xiù」といいます。2021年に放映された「闪闪发光的你」は金融業界に入ったばかりの新入社員の成長を描くドラマです。この番組名から分かるように闪闪は人が「キラキラ輝く」さまを表すのにも使えます。


⑦隆隆( lóng lóng )→雷がゴロゴロ


例文:雷声隆隆地响,吓我一跳。=雷がゴロゴロと鳴るとびっくりする。


隆隆は、雷が「ゴロゴロ」となる音だけでなく、太鼓の音やモーター、機械の低い「ドンドン」「ゴーゴー」といった音を表すのに使われる擬態語です。


⑧熊熊(xióng xióng)→火がガンガン燃える


熊熊とは、火が盛んに、「ガンガン」燃え盛るさまを表します。後ろに「烈火」という単語を組み合わせた「熊熊烈火(Xióngxióng lièhuǒ)」という成語もありますので、一緒に覚えておきましょう。


⑨徐徐(xú xú)→火がチョロチョロ燃える



日本語でも「徐々に」という言葉がありますが、中国語の「徐徐」も「少しずつ」ゆっくりと、のんびりとした様子を表します。また、熊熊とは逆に火が「チョロチョロ」と燃える様子を表すのに使われることもあります。


⑩沙沙(shāshā)→風で草木がザワザワ


例文:风起来,青草沙沙作响。=風が吹いて、草がザワザワした。


沙沙は、草木が風に揺られて「ザワザワ」と音を立てるときに用いられます。それだけでなく、雪や砂を「ザクザク」と踏む音や、ラジオから鳴る「ザーザー」という雑音を表す時にも使われる擬音語です。


まとめ


いかがでしたか?もともと知っていた方は別にして、音だけ発音してみてすべて正解、という方はほとんどいなかったのではないでしょうか?


中国人は普段の会話の中で成語は多用しますが、日本人のようにオノマトペを頻繁に使いません。まずはご自身の知識や会話のきっかけとして、今日挙げた10個のうちいくつかを覚えてみてはいかがでしょうか?会話や SNS などでさりげなく使うことができたら、中国語の表現力がアップすること間違いありません。


次回は中国語の擬態語「動作編」の予定です。ご期待ください。


参考サイト:全般に関してWeblio日中中日辞典を参照


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著者プロフィール


YOSHINARI KAWAI


2008 年に中国に渡る。四川省成都にて中国語を学び、約 10 年に渡り、湖南省、江蘇省でディープな中国文化に触れる。その後、アフリカのガーナに1年半滞在し、英語と地元の言語トゥイ語をマスターすべく奮闘。コロナ禍で帰国を余儀なくされ、現在は福岡県在住。


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