日本語はやはり難しい?カタカナが苦手な中国人

ひらがな、カタカナ、漢字、そして時にはローマ字と、日本語にはさまざまな種類の文字が混在しています。私たち日本人にとっては普通のことですが、もちろんこの認識は世界共通ではありません。今回は私たちも仕事上接する機会が多い中国にスポットを当てて、「中国語スピーカーとカタカナ」について書いてみたいと思います。



中国人が苦戦する「カタカナ」


以前の記事では日本語のカタカナについて取り上げ、オノマトペを表したり、漢字や平仮名と使い分けたりすることによって、自由度の高い、感性豊かな発信が可能になるとご紹介しました。

確かに日本人にとってはそうですが、実は外国人にとっては自由度が高くなればなるほど、その表現方法や文法は使いづらいといえます。

実際、中国語話者の方もカタカナが苦手のようで、かつて中国の大学で日本語を教えていたときには、学生たちがオノマトペや外来語をカタカナで表現しようと挑戦しながらもなかなかうまくいかない姿を見ていました。

中国語出身の日本語学習者の方にとってカタカナが難しいのにはいくつか原因があるようですが、ここでは3つ取り上げてみましょう。


1.カタカナの形状が紛らわしい


一つはカタカナの形です。カタカナには、漢字と見分けがつかないものがたくさんあります。例えば、形がそっくりな例として、「エネルギー」の「エ」は漢字の「工場」の「工」に、「オランダ」の「オ」は「才能」の「才」に、「カタカナ」の「カ」は「能力」の「力」に、「タ」は「夕方」の「夕」に…と例を挙げればキリがありません。初学者であれば、カタカナ、平仮名、漢字が混ざり合っている文章の中からカタカナを判別するだけでも容易なことではありません。


2.カタカナ語(外来語)の発音が独特


別の原因として日本語独特の外来語表現があります。日本語と異なる特徴として、中国語ではほとんどの外来語は音をそのまま語彙に持ち込むのではなく、その語の特徴や性質を漢字で表して表記されます。例えば、computerは「コンピューター」ではなく、「电脑(Diànnǎo)」、softwareは「ソフトウェア」ではなく「软件(Ruǎnjiàn)」、printerは「プリンター」ではなく「打印机(Dǎyìnjī)」といった具合です。

中国語出身者の方が日本語を学ぶ場合厄介なのは、漢字という共通文字があるため、ついついパソコンを「電脳」、ソフトウェアを「軟件」、プリンターを「打印機」などと書きたくなってしまうことです。

加えて、中国語の外来語の中にも日本語と同じように音に基づいて表現するものもあります。英語由来の言葉が中国語と日本語でどう違うか、例を挙げてみましょう。

どちらのほうが英語本来の発音に近いのかは別にして、同じ単語でも中国人と日本人は聞こえ方が全く違っていることが分かっていただけると思います。いままで使っていた「マイダンラオ」という聞こえ方を「マクドナルド」に頭の中で変換し、さらにそれをカタカナで表記するのは簡単なことではありません。これが固有名詞になるともっと大変です。

いくつか例を挙げましょう。

固有名詞を日本語で読むと、英語ネイティブの方には相当奇妙に聞こえるようですが、私たちはそれが英語の発音に近いと信じています。そして、それは中国語出身者の方も同じであるため、その切り替えには相当難儀するようです。


3.カタカナの自由度が高すぎる


最後に、中国語話者の日本語学習者がカタカナで苦労する一番大変な点は、最近の日本語では特に決まりなくカタカナを多用するということでしょう。例えば、メールの中でも、「すみません」を何となく「スミマセン」、「体」を「からだ」や「カラダ」と、「綺麗」を「きれい」や「キレイ」と書き換えることがあります。日本人は感覚的に曖昧に使い分けていますが、論理や根拠を大事にする中国語出身者の方にはもはや理解不能になってしまうようです。


以上、中国語話者の方にとってカタカナが難しく感じる理由を3つ挙げてみました。このように外国人の方の視点に立つと、私たちが普段使っている日本語を客観的に見れることに気づきます。今度、カタカナ学習に苦しんでいる日本語学習者に会ったら、是非優しく助けてあげてください。



注釈:

* マクドナルドの中国語名はこれまで中国語発音に近い「麦当劳」が使われていましたが、2017年より公式名が「金拱门(jīn gǒng mén)」に変更されました。ゴールデンアーチのロゴに由来するものですが、改名された後もしっくりこない人が多く、大衆の間ではまだ「麦当劳」が一般的となっているようです。


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著者プロフィール


YOSHINARI KAWAI

2008 年に中国に渡る。四川省成都にて中国語を学び、約 10 年に渡り、湖南省、江蘇省でディープな中国文化に触れる。その後、アフリカのガーナに1年半滞在し、英語と地元の言語トゥイ語をマスターすべく奮闘。コロナ禍で帰国を余儀なくされ、現在は福岡県在住。

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