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  • 執筆者の写真S Satoko

「自制心」:なりたい自分になる方法

更新日:4月4日


少し大げさかもしれませんが、楽しい人生はまず「自分をうまく律する」ことから。

仕事でもプライベートでもこれは同じです。1 日の計画をすべて消化できずに不完全燃焼したり、ついつい「今日だけ」と自分に甘くなってしまったり、自分に満足できるか否かは毎日違うはず。

この機会に自らの意志を尊重し、時には厳しく律するコツをつかんで、バランスの取れた生き方を目指しませんか?



そもそも、自制心とは


まずはじめに、人は意志の力によって「するべきこと」「したくないこと」「やりたいこと」の 3 つをコントロールしています。おそらく多くの人にとって「やりたいこと」と「するべきこと」は同じでしょうが、これを実行に移すためには強い意志力が必要…。

人である以上、必ずどこかに弱さは存在するので、その弱点を克服する必要があるからです。


自制するための鍵は、常に自分の目標を意識すること。

たとえば、誘惑に直面したり、先延ばしする癖が現れそうになった時は、自分が本当に手に入れたいものは何だろう?と考えてみましょう。ナイスバディ?彼女?高い報酬?昇進?それとも幸せな家族?・・・今からする自分の行動で、結果的に何が欲しいのかを今一度意識することが大切です。


わたしたちの大脳には、常に 2 種類の勢力が対峙しているそうです。ひとつは「わがままで気まぐれ、楽しいことが大好き」な感情。もうひとつは「衝動をコントロールし、深く思索しようとする」感情。この 2 人のコビトが大脳の中でいつも喧嘩していることを意識しておきましょう。



しかし、普段、大脳の異なる領域で行われているこの 2 つの働きについて意識することはほとんどないといえます。大体の場合、脳は自動操縦モードで、私たちは自分がなぜその決定をしたのかを意識することも、真剣にその結果について意識することもないからです。また、朝食で何を食べるか、どの道を通って出勤するかなどは自分で決めたことですが、実はこれらが「自分が下した決定である」ことすらもまったく意識していません。


神経学の専門家によると、人の大脳は「知識欲旺盛な学生のよう」だそう。つまり、毎日勉強すれば脳はどんどん勉強が得意になり、いつも悩んでばかりいれば常にくよくよする脳へと変わっていきます。つまり、大脳はその可塑性ゆえに、いつも自分が集中する考えに沿って変化するということなのです。


今日、これから考えるトピックは「なりたい自分になれるのか」ということ。その本質は、自分の大脳をトレーニングすることに尽きます。脳には外界の刺激により常に機能的、構造的な変化を起こせる可塑性があるため、絶えず訓練していけば、だれでも「なりたい自分」に到達することができます。



自制心に関する研究

- セルフコントロールできているかは、心拍数の変動によって測定する


人がストレスを抱えている時、交感神経が身体をコントロールしようと働き始めます。これは戦うのか逃げるのかを決定しようとする生物的な本能です。心拍数が上昇し、同時に緊急事態に対応するために不安や怒りといった感情が発生します。逆に、自分で心をコントロールできている時は副交感神経が優位になるため、ストレスはやわらぎ、衝動も抑えられます。このときは心拍数が低下するので胸のドキドキも収まります。


このように、身体には生来ストレスに対応して神経系を調整するはたらきが備わっています。これに加えて、実はトレーニングを行うことで意識的に「自制心」を伸ばすことができるのだとか。長期にわたってトレーニングを実践することで、心理的変動の閾値を向上させ、自制心の生理的なレベルを変化させることができるそうです。


自制する上で致命的となるのが、ストレスの存在です。たとえば、レポートの提出を最後まで先延ばしすれば、怠け者という否定的なレッテルを自分に貼ることとなり、結果として自らにストレスがかかります。先延ばしして自分を追い詰めることによるプレッシャーがセルフコントロールにつながる、と思っている多いかもしれませんが、実はこれにより意志力が消耗していきます。ストレスと自制心の生理学的機能は互いに矛盾するからです。ストレスは緊急事態への対応であり、本能が優位になるのに対して、自制心は理性を保って本能的な選択をコントロールすることが求められるからです(*1)。


わたしたちが慢性的なストレスに直面している時は、意志力も衝動で揺らぎがち。理性を保てるか否か…の挑戦の時です。この戦いに勝利を収めたければ、本能に抗って守りに入るのではなく、まず自らのエネルギーを調整する能力を習得することが大切です。



自制心とエネルギー

- 自制心には限界がある


自制心は大脳の働きの中でも最もエネルギーを使うといわれています。そのため、大脳は省エネを目的として「誘惑に抵抗する」「極度に集中する」「感情を制御する」といったエネルギーの消費を惜しむ傾向にあります。

サウスダコタ大学と心理学者のロバート・ドヴォラック氏が行った研究では、自制するためのエネルギーがどう使われるかという心理モデルが提唱されました。たとえば、財産と同じように、エネルギーがたっぷり手元にあるときは、大脳はその力を惜しげもなく使いますが、枯渇した際にはそれをため込もうとします。もし、無人島に置いてけぼりになったとしても、緊急時のために十分なエネルギーを貯蓄しておけば数日は生きられるように、人間が自らを保護しようとするメカニズムと同じ動きをするのです。さらに、運動で疲労し、自分で「もう体力の限界だ」と感じたら、筋肉が動かなくなる前に大脳が警告を発するようになっています。自制心を訓練するということは、いつでも自らエネルギーをコントロールする能力を身に着けることにほかなりません。



自制心と道徳

- 自分がうまくいっていると思うと、もっともコントロールを失いやすい


「何もかもうまくいっている」と自分に満足しているときが、実は自制心の大ピンチ。通常なら何が正しくて、何が間違っているかを道徳的に判断できるところが、自分で自分の状況に満足しているときには、道徳に反した自分勝手な行動に対してゴーサインを出してしまうそうなのです。


つまり、良いことを行ったり、すべてが計画通りに進んで良い気分でいると、自分の衝動を信じて間違ったことも許してしまう可能性が高いということです。自分の徳に満足し、行った良いことに目がいっているときは、「ご褒美」として自分の衝動をつい許してしまう可能性があるということを覚えておいてください。

たとえば、ダイエットをあきらめる、決めていた予算を超えてお金を無駄遣いする、タバコを吸うなどの「実は避けたかった」行いをまるでご褒美のようにみなしてしまったり。これらは大脳にとっては恐ろしいほどの誘惑であるため、「やりたい」という気持ちがいつしか「やるべきこと」へと変化してしまい、結果としてそもそもの目標から自分の行為だけが逸脱してしまうことになります。


これらの失敗を避けるためには、本当に道徳的な問題と普通の困難を区別しておくことが必要です。「急いでいるが赤信号では停止する」など真に道徳的な問題は明らかで、ダイエットを続けられるかどうかは通常の困難に分類されます。

しかし、多くの人はそもそも「自制できるかどうか」がすべて道徳的な問題だと考えています。夜食を食べ過ぎてしまう、徹夜、夜更かし、クレジットカードの負債…自分の心にとっては確かに挑戦ですが、これらは善悪の問題としては処理できません。

このように、道徳と困難の定義があいまいになり、かつ自分の意志力を試されるような状況下では、人は自分自身を冷静に分析できなくなってしまいます。



- 目標達成のための行為を、目標そのものと勘違いしない


さて、自分が立てた目標をクリアしたときにも、また新たなリスクに直面する可能性があります。例えば、5 分多めにエクササイズをしたとしましょう。目標を超えた成果が出せたので、それを盾に自分を甘やかしてしまう人もいるのでは?また、今日はヘルシーなランチを食べたから甘いラテを買おう、デザートを食べようなど、結局プラマイゼロになってしまうことも少なくありません。


このときクリアした目標は、もっと大きなゴールに向かうためのステップです。進歩の度合いだけに着目すると、大目標からだんだんと心が離れていってしまいます。進歩そのものは人を力づけ、自制心を高めてくれるのですが、大前提として自分の行ったことを目標達成の度合いと照らし合わせるよう心がけましょう。自分が何をしたのかをはっきりと見極め、自分の目標をしっかりと見据えて目標実現のために努力することが大切です。多くの場合、一定の進歩によってある種の達成感が得られてしまうので、ついつい目標をあきらめる理由を探してしまうことになるのです。



いかがでしたか?

「仕事だから」と割り切ればできるのに、プライベートだと目標が伸ばし伸ばしになってしまったり、逆になぜこの仕事をやっているのか疑問に思ってしまったり…


いまの自分の状況に少しでも悩んだときは、大枠の目標をもう一度思い出してみましょう。やることが多すぎるとどうしても今日明日目線になってしまいますが、長い目でみて自分がどう生きたいかを時々考えるのも大切です。


今日も皆さん、良い 1 日を!



思考と行動、そして感情のコントロールについてご興味をお持ちの方は、「NLPについて知りたい、学びたい人のためのNLP学び方ガイド」の記事もあわせてご覧ください。



*1:大脳の 2 つの機能の使い分けに関してはジョン・アーデン著「Rewire Your Brain」を参照。ただ著者は心理学者であり、神経学の専門家ではないため参考までに留めてください。

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