集中できる時、できない時のムラをなくそう:クリエイター流・仕事モードのつくり方

漫画家や小説家が「締切なのに書けない…」と頭を抱える図、一度は見たことがあるのではないでしょうか?想像(創造)力と知性を振り絞ってゼロから何かをつくる仕事をしたことがある方は、共感できるシーンかもしれません。


ライターや翻訳者、イラストレーターなど何かを生み出す仕事をされている方は誰もが自分のピークタイムを持っていると思います。


ただ趣味で小説を書いたり、絵を書いたりしているのであれば、いわゆる「神が降りてくる」のはごくたまにでもかまいませんが、仕事であれば話は別です。神がかった集中力を一度発揮したと思ったら、次はいつになるのか分からない、では困りますよね。


おそらくプロのクリエイターなら誰もが持っている、仕事モードに入るための作法。ひとり一人が独自の変遷を経ながら作り上げてきたものであるゆえ、千差万別でありながらも、同じ人間である以上は一定の共通項も見出せるはずです。


そこで今回は、高い集中力をできるだけ安定して発揮するための考え方やアイディアを紹介します。


そもそもクリエイターとは?


世の中に溢れる「クリエイター」という肩書き。「何かを生み出す」ということは分かりますが、例えば「アーティスト」とはどう違うのでしょうか?


「アーティスト」は「自分の価値観をスキルや能力で具現化する人」であるのに対し、「クリエイター」は「自分のもつスキルや能力を具現化し、価値として提供する仕事をする人」といえるかもしれません。


つまり、アーティストには一般的にクライアントはいません(パトロンやファンはいます)が、クリエイターはクライアントからの依頼に対して、自らのスキルや能力を使って成果物を生み出し納品します。その意味でライターや翻訳者は間違いなくクリエイターといえるでしょう。


クリエイターに求められるのは新しい価値をゼロから生み出すことではありません。いかにクライアントのニーズを汲み取って、自分のスキルを使って具現化するかということに尽きます。このようにクリエイターとしての自分の仕事を再定義することで、自分が集中するための作法を定型化しやすくなるはずです。



「パレートの法則」を意識する


イタリアの経済学者、ヴィルフレド・パレートが提唱した法則で、名前を聞いたことがある方も多いと思います。「80:20の法則」と呼ばれることも多いですが、時間管理でいうなら「仕事の成果の8割は費やした時間の2割が生み出している」ということです。


例えば、皆さんがクライアントに納品した成果物について少し考えてみてください。


その仕事に10時間費やしたとしましょう。

全体では10時間でも、そのうち本当に集中して実際の執筆や翻訳に充てたのは2時間ほどで、残りの8時間はクライアントからの指示や要望に精通するために、あるいは下準備や仕上げのために使われたのではないでしょうか?


また、PCに向かってはいても集中していない時間もあったことでしょう。私たちはマシンではないので、机に向かい、PCの電源を入れた瞬間からトップスピードで本質的な作業に入ることはできないのです。



自分のピーク時間に「20%」を持ってくる


スケジューリングする上でこのパレートの法則を意識しておくと仕事モードを作りやすくなります。クリエイターとして一番大事にしたいのは自分のスキルや能力を具現化し、新しい価値を生み出す本質的な20%です。それで自分の集中力がピークになる時間帯にこの20%を充てるように心がけるのです。


一般的に多くの小説家やアーティスト、クリエイターが朝の時間が創造的な時間に向いていると考えており、そのようにスケジューリングしています。確かに朝は睡眠から目覚めた後で脳の疲れもとれていますし、メールや電話、在宅勤務の方なら子どもたちに邪魔されることもないでしょう。ただ、すべての人が早朝に集中できるかといえばそういう訳でもないと思います。


重要なのは、クリエイターとして価値を生み出せる集中力のピークタイムが一日のうちのどの時間帯なのかを知っておくことです。


例えば、それを意識せずに10時間かかる仕事を漫然と朝10時から始めるとします。先に述べたようにそのうち本質的な価値を生み出せる時間は2時間程度です。あとの8時間は机に向かっていてもいわば周辺作業に追われることになります。ぶっ続けで仕事し続けてようやく夜8時に成果物が完成します。でも、これでは頭も心もくたくたですよね。


逆にピークタイムを意識したスケジューリングをしていればどうでしょうか?数日かけすきま時間を活用して、クライアントの指示や意向に精通し、執筆や翻訳の方向性をイメージしておきます。そして、前もって取り分けた朝の2時間に一気に本質的部分を仕上げます。チェックや修正はまた別の日のすきま時間に行い、気持ちの余裕を持ちながら納品できるというわけです。


「パレートの法則」といってもどの仕事も同じように「80:20」に配分できるわけではありませんが、この法則とスケジューリングを意識して組み合わせることで、安定して「神がかった」集中力を発揮することができるようになります。



クリエイターはアスリートでもある


アスリートなら誰でも意識する「ピークパフォーマンス」という概念があります。最大のパフォーマンスを長期的、持続的に発揮するためにいかにトレーニングし、メンタルを整えるかに心を砕きます。「クリエイター」という響きは自由で気楽な感じがしますが、短期的には仕事の納期を守りながら、なおかつ翻訳者としてライターとしてスキルアップしていくには、アスリート並みのマネジメント、セルフコントロールが求められます(過去記事「翻訳者が持つべき時間感覚」も併せてご覧くださいね)。


アスリートの基本は何と言っても強い体を作ることですが、クリエイターも安定的にクオリティの高い成果物を納品し、上述したような集中力のピークタイムでしっかりと価値を生み出し続けるためには健康な体が必要です。朝が集中できる時間帯と一般的にはいわれていても睡眠不足、朝食抜きでは頭も働くはずがありません。


健康に関しては世の中にありとあらゆる情報が溢れているためここで踏み込むことはしませんが、やはりバランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動が必要なことは高いパフォーマンスを発揮する人が誰もが認めている点でしょう。自分の体質やライフスタイルにあわせて明確なメソッドを持ち、自分のカラダをマネジメントすることもクリエイターにとっては欠かせません。


時間を味方につけることで良い循環が生み出される


自分のピークタイムを知り、そこにクリエイターとして本質的な価値を生み出す仕事を投入できれば、大げさではなく時間を何倍にも活用できることになります。そうすれば家族との時間や本を読んだり、自然を楽しんだりする時間が増え、ビジネスでもさらに新しい価値を生み出して成長していけるはずです。


参考サイト:

https://news.yahoo.co.jp/articles/bb0e134787553833a557000b61916fd57e5d3da0

https://scienceshift.jp/lifehack-01/

https://www.kdanmobile.com/ja/blog/creativity/what-is-a-creator


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著者プロフィール


YOSHINARI KAWAI


2008 年に中国に渡る。四川省成都にて中国語を学び、約 10 年に渡り、湖南省、江蘇省でディープな中国文化に触れる。その後、アフリカのガーナに1年半滞在し、英語と地元の言語トゥイ語をマスターすべく奮闘。コロナ禍で帰国を余儀なくされ、現在は福岡県在住。


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